気温調査で分かる夏コミと猛暑(2022最新版)

2017年8月7日

2022年11月11日 更新

2022年版に最新化しました。

歴代夏コミでの気温について、暇だったので調べてみました。(データは気象庁の過去の天気検索(http://www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn/index.php?prec_no=&block_no=)より)

面倒なのでExcelの表をスクショしてペッと貼っつけただけです。投げやりですんません。(スマホは多分横にしないと見えん)

これが歴代夏コミ(C3~C100)の気温一覧です。濃い赤ほど気温が高く、気温が低いところは青くなっています。
観測所については、会場から近いところを選んでいますが、昔は気温の観測をやっていないところがあったり、C76は江戸川臨海が工事かなんかで気温を観測していなかったので羽田のデータを代用していたりします。
ちなみに、新木場は今の江戸川臨海で、2009年5月末頃に名称変更されました。

ジェノサイドコミケと呼ばれた回があります。ジェノサイドとは大量殺戮のことで、きっとあまりの猛暑で熱中症になった参加者が大量に出たのでしょう。
その回がC42で、その語呂に見合うような回になってしまいました。
しかし、C42の気温を見てみると、平均気温がおよそ27度、最高気温は31度と、特別暑かったというわけではなかったようです。
晴海では過去3期にわたってコミケが開催されており、その間にTRCや幕張メッセでの開催がありました。幕張メッセ絡みで色々あって、C40から晴海に三度戻って来ることになりました。
C40では秋を感じさせるような気候で快適だったと思いますが、C42では気温を30℃を超え、参加者数増加(C42は晴海では1位タイの来場者数25万人)により外に並ぶ時間が増えると、暑さに晒されて倒れる人が増えたのではないかと思います。
晴海時代の夏コミでは、所謂「コミケ雲」が主に新館で目撃されていました。

C62も平均気温が中々高いですが、最低気温が1日目と2日目は27度ほどと、特に朝がきつかったのではないかと思います。

次に2007年のC72。これは私が初めて一般参加した回でもありますが、設営日に埼玉県熊谷と岐阜県多治見で、当時観測史上最高の40.9度を記録し、周辺各地でも40度に達した地点がありました。その日の夜は寝苦しかった記憶があります。
そして翌日の1日目は、最低気温は25.5度となっていますが、これは夜に観測したものであって、朝の気温は28度くらいしか下がりませんでした。なので朝から相当過酷で、最高気温も34.5度と猛暑日に迫る勢い。 当時の参加者史上最高記録を樹立したこともあり、熱中症で救護室へ運ばれた人も多かったことでしょう。この回は、ジェノサイドコミケの再来とまで言われました。

C80の3日目には、ついに平均気温が30度に達し、夏コミはいよいよ猛暑との付き合いが避けられなくなってきていました。

そしてその後、史上最も暑い夏コミがやってきます。

2013年、C84。奇しくもジェノサイドコミケの開催回数のちょうど2倍となったこの回。1日目に初めて(*1)最高気温が36.2度の猛暑日となります。朝の気温は27度。そこからグンと気温が上がり、正午過ぎあたりに気温は35度を超え猛暑日に。 救護室へ運ばれる人が続出、救急車も多数出動する事態になりました。
2日目にはさらに気温が上昇。大手町では最低気温が当時全国歴代2番目に高い30.4度を記録(*2)、しかもこれは夜の気温で、朝は30.9度までしか下がらない異常事態。 一日中気温が30度を下回らなかったのは東京では前代未聞。
コミケでも苛烈を極める地獄のような暑さで救護室に運ばれる人が続出。この日の最高気温は37.5度と、コミケ史上最も気温が高い一日となりました。
3日目も35.7度と猛暑日を記録。開催期間全日がコミケ史上記録ベスト3に入ってしまうような記録にも記憶にも深く刻まれる回となったC84。救護室の利用者数は約1000人にものぼり、救護室が足りないためにスタッフ控え室の一部を供用したほど。
また、有明に移ってから目撃されることがほとんどなかった所謂「コミケ雲」が、久々に発生したという証言も多く残されています。

私はこの史上最高気温となった2日目にサークル参加していました。開場の数時間前から、熱中症で運ばれていく人を多数見ました。最初は車椅子で運ばれていましたが、その車椅子が足りなくなったのか、 時間が経つにつれて荷物運搬用台車に変わっていきました。すでに外では異常な状態となっていたのです。
そして、開場後正午ごろに、スペースの目の前の導線が崩壊、身動きが取れないほどに混乱してしまいます。サークル側は一般参加者に向けてうちわで扇ぐ始末。一般参加者の体感気温は、想像もつかないほどに高く、そしてとても不快だった ことでしょう。まさに煉獄の世界。地獄を味わわされる一日でした。
今では、このC84が、C42に変わる新たなジェノサイドコミケとして語られています。

2019年のC96は、2020年に開催予定だった東京オリンピック(後に2021年に延期)の影響で東が使えなくなった関係で、初めて4日間開催となりました。サークルは従来の西と新たにできた南に配置され、企業は東京テレポート駅前の青海仮設展示棟への配置と分かれた開催となりました。 2日目まではサークルと企業で分散されたこともあって問題なかったものの、3日目ではサークル側に人が集中した結果、入場に混乱が生じ、本来使用予定ではなかった東駐車場を急遽開放することになりました。しかし、そこへの導線があまりにも遠く、駐車場にたどり着いても中々入場が できない状況の中、熱中症で倒れる人が続出してしまいました。使用を想定していなかったため救護テントが設置されておらず、対応にも遅延が生じました。これには準備会への批判が殺到、4日目は最初から東駐車場を使う運用で飲料販売業者との調整や救護テントも当初より設置するなどの対策を取り、 入場が前後してしまうなどのトラブルがあったものの、なんとか乗り切りました。

見てみると、近年は気温は上昇傾向にあるものの、ここ数年(C86~C92)は比較的酷暑は和らいでいます。特にC92の1日目は、最高気温がC74の3日目以来となる25℃以下でした。
しかしながら、いつC84のような、いや、それすら超えるような災害レベルの酷暑に襲われるのか分かりません。夏コミにおける熱中症対策は同人誌を買うよりも重要なポイントとなってきています。
水分補給は大切ですが、汗で排泄された塩分を補うためにもスポーツドリンクを飲むようにしましょう。ただの水だと体内の塩分濃度が下がり、電解質バランスを崩しかえって危険です。塩飴とかあったほうがいいでしょう。
飲み物も、冷たいものだと腹を壊す可能性があるので、腹が弱い人はできればちょっとぬるいほうが身体には優しいです。朝に自宅最寄り駅や会場近く以外のコンビニで2~3本ほど調達するのがいいでしょう。

それでは、よい夏コミライフを!

(*1)これは江戸川臨海(新木場時代を含む)の話で、大手町の観測所で猛暑日となった回は前からあった。準備会としてはこの大手町(現在は北の丸公園に移設)の気温を正としているらしく、 C72のアフターレポートでも「設営日と初日の東京の最高気温はなんと37度」としている。江戸川臨海アメダスは、葛西臨海公園内の海沿いに位置し、周りに何も無いため 大手町や北の丸公園よりも低い気温が観測される傾向にある。
なお、C72の1日目の大手町の最高気温は37.5度で朝の気温は30度を下回らず、ジェノサイドの再来は伊達ではなかったものの、C42ほどの惨事は避けられたことがアフターレポートからも分かる。

(*2)気象庁 全国歴代ランキング(http://www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn/view/rankall.php?prec_no=&block_no=&year=&month=&day=&view=)[最低気温の高い方から]より。 1位は2019年8月15日、新潟県糸魚川で観測された31.3℃。東京の最低気温の高温記録は現在(2022年11月11日時点)4位。